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環境科学科:浅岸演習林の様子について

 本校からおよそ40㎞ほど離れた盛岡市新庄字中津川地区に10.67haの演習林があります。ここは区界に近い場所。
 演習林実習は、令和2年度より約20年ぶりに再開、年2回程度実施しています。
 場所は、山田線旧浅岸駅から徒歩10分ほどの距離(隣接)にあり、当時は盛岡駅に集合し、平成の時代まで汽車で実習地に通ったとのことです。

黄色枠が浅岸演習林 (GoogleMapより転載)

 この演習林は昭和33年から2年かけて31,000本のカラマツと、1,000本のスギを植林し現在に至ります。木炭の原木を伐採した跡地のため、植林実習は大変であったと記録があります。また、この植林は創立80周年記念事業の一環として全日制課程3年生および定時制3.4年生合計375名が、2日間かけて苦労しながら植林したところです。

演習林はJR山田線と隣接した立地 急勾配を登るディーゼル車両の音が響きます

 今回は7月に演習林実習が行われるため、その下見で現地に行ってきました。林木も大きく成長しているため、境界が不明瞭です。今回はこの境界を再確認する形で調査を行いました。
 この演習林、実は林道から林内に入るのが大変困難な場所。どのようにルートをつくるか難航しましたが、何とか道をつけていきます。

どの場所からも林内に入るのが困難な演習林

 GPSを頼りに、ササをこいで進んでいきます。すると、ホーロー看板と標石を発見!

きれいに看板が残っているとは想像していませんでした!

 ここは、演習林の境界です。おそらくこの地に来たのは記録が残っている昭和61年の境界調査以来ではないでしょうか。

判りづらいですが左が県行造林の標石 右が岩手県の土地を示す境界杭

 境界を確認しながら、獣道(道はありません)を歩きます。とにかくクマとの遭遇が怖いので笛をこまめに吹いて先に進みます。

 途中、アカマツの木を見上げると・・・
 

立派なアカマツ・・・と思って見上げると
幹の複数箇所に爪痕が。クマは木登りが得意!隣のミズナラのドングリでも食べようと登ったのかな?

 ツキノワクマが木登りをした痕跡です。この部分だけではなく、裏側にも爪痕がついています。(踏査中も新しい糞と、歩いたばかりの足跡有り)


赤い線が歩いたルート 道はありません。藪漕ぎで移動しました。

 目標としていた標高750mの廃道となった林道に出ました。過去の写真では車も通れていたようですが、今は難しい場所です。

この林道は昭和42年あたりに開通

 更に進み、演習林でもっとも標高の高い773m境界まで到着。標石も確認できました。

ここが演習林の最高地点・境界 この先は阿部館山(1,218m)に続く尾根線上です。

 下の写真は学科に残る昭和61年の踏査報告から。同じ場所で撮影した写真です。あれから35年近くたっています。

ほぼ同じ方向から撮影 昭和35年カラマツ造成地

この写真も昭和61年調査の写真。

昭和61年境界調査資料より抜粋 

そしてこちらが現在の写真。

カラマツの成長が悪いような気がする・・・このようなことを調査する実習がしたい

 最高地点から,西方向を見渡すが、何も見えず残念。でも、計算上では以下の山々が見えていたはず。岩手山も姫神山もみえる位置です。

あいにくの雨・・・遠くに山田線最長トンネル 第1飛鳥トンネルが見える
林道ならびに演習林最高地点から見えるはず?の山々 晴れていたらこんな感じ?

 最後に本日歩いたルートポイント
 この◇が、ホーロー看板や標石を確認できた場所です。まずはクマに遭遇せずよかった。7月の演習林実習では「森林調査」、「プロジェクト研究」などを学習します。